この街で関西カルチャーを広めたい|たこ焼き◎(にじゅうまる)|大倉山

大倉山駅前に2023年10月に開店したたこ焼き◎(にじゅうまる)
母でもあり大手アパレル企業で働く一人の女性が、一念発起して異業種のたこ焼きスタンドを始めた理由とは?

お話を伺いに店主の川口志穂美さんに会いに行きました。

文章:nishidamaa 写真:myourenjar 構成:myourenjar


自分のアイデンティティを大切に生きたい。

関西出身で前職は大手アパレル企業に勤めていた志穂美さん。


大好きな服に関わることは楽しかったが
「自分でセレクトした服ではなくデザイナーが作った服をそのまま売ることにだんだん違和感を覚えてきました。私じゃなくても売れるんじゃないか、テンプレート化した接客にお客様との距離も感じてきて…」
自分のオリジナリティを活かして、もっとお客様と身近にコミュニケーションをとりたいと思い始め、たどり着いたのが「たこ焼き」というキーワード。

最新のメニューはInstagramからご確認ください。

もともと行きつけのお店の人たちが自分スタイルを大切にイキイキされているのが印象的で、この街だったら自分らしくやっていけそう!と思い大倉山で物件探しをスタート。タイミングよく希望の物件が見つかりお店をスタートすることになりました。

たこ焼き◎(にじゅうまる)の店主 川口志穂美さん

お店を通して関西カルチャーを広めたい

関西人が普段美味しいと作って食べている、何も飾らないたこ焼きを食べてもらいたい」という志穂美さん。


「とくにこだわりはないです。関西人が食べている普通のたこ焼きです」と謙虚な姿ですが、
お店を始めるにあたり、だしソムリエの取得や専門店での修行に行かれるなど材料や作り方に工夫をされています。

お店の原点ともいえる修了書たち

そのたこ焼きはフワトロでおいしいと評判です。揚げ焼きが多い中、たこ焼き◎(にじゅうまる)は出汁が効いた優しい風味。まるでおふくろの味のように心が温まる美味しさです。

ソースにも特徴があり、甘くてコクがあるいちじくソースが人気。
志穂美さんは「あっさり楽しめる“塩+マヨ”もおすすめです!」とのこと。
常連さんの中には素焼きをテイクアウトし自分好みの味を楽しんでいる方もいるそう。

出汁が効いていて素焼きでも十分に美味しいフワトロたこ焼き

たこ焼きを待っている間も関西カルチャーに触れてもらえると嬉しい」と語る志穂美さん。
店内にはこだわりの関西グッズがたくさん。
関東では見かけないものばかりで思わず目を引きます。
「このお店を通して関西を身近に感じてもらえれば。」と熱い思いが伝わります。

店内にはいたるところに関西グッズが。「岡本太郎大好き」と志穂美さん

お客様との接点を大切に入りやすい店づくりを

前職でお客様との距離を感じていた志穂美さん。
たこ焼き◎(にじゅうまる)を始めるにあたって「お客様との距離を縮めたい。そのためにはお客様がふらっと立ち寄れるお店に」という視点を大切にしています。

すぐ貯まると評判のポイントカードと、貯まったもらえるドリンクたち

お店にはお客様が気軽に立ち寄れる工夫が垣間見れます。


紙のポイントカード、支払いは現金のみというアナログ感もその一つ。
「なかなか貯まらないポイントカードじゃつまらない。直ぐ貯まってちょっとしたお得感を味わっていただければ。」

店先にのれんを出し、外から「たこ焼き屋」と分かるようにしたり、たこ焼きがいつできるのかわかるようにできる限りお客様に声掛けをしているそうです。「自分がお客さんとしてたこ焼きを待っている間にこんなことがあったらいいなという思いで考えました。」

年配の方や妊婦さんにも安心して待っていただけるようにと腰掛け用の椅子も用意してるのもこだわりポイント。お客様がホッと笑顔になる一つ一つの工夫に志穂美さんの優しさが伝わります。

そんな温かい雰囲気が広まり常連さんや地域の方に愛されるお店になりました。
「お子様がお小遣いを握って買いに来てくれた!」
「たこ焼きを食べてその日のうちに「おいしい!」とわざわざお店に戻ってきて伝えてくれた」と嬉しそうに話していました。

家族との時間も大切にしたいから働き方も自分らしく

前職では、大型連休や土日関係なく夜遅くまで働いていたという志穂美さん。
「娘の保育園のお迎えはいつも一番最後。娘は気を使って大丈夫と言っていましたが
とても寂しい思いをさせていたと思います。」
年末年始も家族とゆっくり過ごせず心苦しい思いをしていたそうです。

たこ焼き◎(にじゅうまる)の営業時間は17時までという理由もここにあります。
「正直商売を考えたらもっと営業時間を長くするべきだけど
家族の時間も大切なのでそこは通します。無理はしないと決めたんです。」

娘さんの可愛らしいイラストが店内に

ーーお店を始めてご家族との時間は取れましたか?
「定休日の日曜日は家族と過ごせています。最近娘が自転車に乗れるようになったので一緒に散歩することが増えましたね。」
保育園のお迎え時間も早くなり娘のメンタルも安定してきたようです。」と嬉しそうに話している姿が印象的でした。

自分のやりたい事を実現する強さ

今回取材して感じたことは私自身働く母親の一人として共感した部分が多く
家族との時間、地域とのつながりを軸に
自分のやりたい事をとことん追求している姿に心を打たれました。
やりたいことがあるけれど一歩踏み出せない、
大人になればなるほど簡単には行動できないことが多い中
志穂美さんの行動や思いにとても勇気づけられました。

店名とロゴの由来は「私が丸顔だから」と茶目っ気たっぷりの志穂美さん

また地域の方への愛にもあふれていることがお店を通して伝わってきました。「売れ残りそう!フードロスはもったいない!助けて…!」とInstagramで投稿したら商店街の方たちがすぐに駆けつけてくれた。これってすごいことだと思いませんか?」と志穂美さん。
お客様だけでなく地域の方たちと家族みたいな関係を築かれている志穂美さんの姿が印象的でした。

作っている間お待たせするのは心苦しいですが、お茶でも飲みながらまったり待っていただけたら!ぜひ勇気を出して遊びに来てください!
明るい店主とおいしいたこ焼き、関西カルチャーを身近に感じられるたこ焼き◎(にじゅうまる)にこれからも目が離せません。

たこ焼き◎(ニジュウマル)
住所:神奈川県横浜市港北区大倉山3-29-3 しまやビル 1F
Instagram:takoyaki_nijyumaru

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