横浜の大倉山にあるハンバーガー屋『GRANVILLY BURGER(以下、グランビリー)』には、週末限定のレアキャラスタッフ『ちさとさん』がいるとの情報。
そのちさとさんが、3月から鹿児島に移住し、ベーグル屋『ピーカンベーグル』を始めるとのことで、今回お話を伺いました。

移住前最後のポップアップイベントの様子。
マイルール『恐れずに、まずはやってみる』
ー鹿児島への移住や開業の決断、また移住前から横浜や都内でのイベント出店を積極的に行っているそうですが、その行動力は幼い頃からあったのでしょうか?ー
「いえいえ。幼い頃はむしろ静かで大人しく、内向的な性格でした。中学で演劇に出会い、その頃から人前に立つことや表現することが好きになったのだと思います。
演劇はしばらく続けたのですが、大学受験や就活のタイミングで厳しい現実に直面し、演劇の道は諦めてしまいました。
今思い返してみると、そのことがどこか心残りで、ずっとモヤモヤしていたのかもしれません。」

とワクワクしながら選んでいる
お客さんの楽しそうな様子は、
見ているこちらも笑顔になってしまうほど。
大学卒業後、一般企業に就職したちさとさん。6年ほど勤めた頃、今後の人生やキャリアについて考える機会が増えたとのこと。
「仕事もある種やりきった感覚があり、ぼんやりとですが、次のステージへ進むことを考え始めました。
ちょうどその頃、一人旅で鹿児島に行く機会があったのですが、そのとき出会った人や温暖な気候にすっかり魅了され、『ここに住みたい!』と思うようになりました。
実は、移住自体は社会人2年目頃にも考えたことがあったんです。でもそのときは、仕事が上手くいっていないことから外に目がいき、移住に逃げているような気もして、決断することはできませんでした。
仕事に対する思いやこれからについて何度も考えたとき、『やらずに後悔するくらいなら、恐れずに、まずはやってみよう』という気持ちが強くなり、今回は仕事から逃げているのではなく、本当に鹿児島に住みたいのだと確信を持つことができました。」
「鹿児島に住みたいなぁ。よし、ベーグル屋になろう!」
ー初めてお会いしたとき、「ベーグル屋になりたくて鹿児島に住むわけじゃなく、鹿児島に住みたいからベーグル屋になるんです。」と仰っていたことをよく覚えています。これは、一体どういうことでしょうか?(笑)ー
「普通よくわからないですよね(笑) 先ほどもお話した通り、鹿児島に住むことは決めたのですが、どのように暮らしていくかなどは全く考えていなくて。
移住先として考えていた場所は、鹿児島の中でも長閑な場所で、今までの仕事も活かすのは難しそうでした。
『何か手に職を…』と考えたとき、私はパンが大好きだということを思い出し、『これだ!』と思いましたね(笑)
パンの中でも特にベーグルが好きで、仕事が大変な状況でも、お昼ごはんにベーグルがあると『なんかテンション上がるな。これを食べて午後も頑張ろう!』と思わせてくれる、パワーフードのような存在でした。
ピーカンベーグルも、私にとっての『ベーグル』や店名の由来になっている『ピーカン晴れ』のように、『なんかテンション上がるな~』と思ってもらえる存在になれたら嬉しいです。」

普段は接客メインのため、
あまり見ることのできない貴重な姿。
ーなるほど、本当に『鹿児島に住むための手段』として選んだのがベーグル屋だったのですね。パン作りは未経験だったと思いますが、不安はなかったのですか?ー
「そうですね、不安ももちろんありましたが『恐れずに、まずはやってみる』というのがマイルールでもあるように、『やってみたい』という冒険心の方が強かったです。
また、元々陶芸が好きだったので、『こねる』という作業が似ているパン作りもできるかなと思っていたこともあります(笑)」
“ただ生まれ育った場所”だった地元が、いつしか大事な場所に。
ー2月までグランビリーで週末限定スタッフをされていたと思いますが、このお店との出会いはどのようなものだったのでしょうか?ー
「実は、会社員を辞めたあとに修行させていただく予定だったパン屋さんが、諸事情により休業してしまったんです。
『仕事も辞めてしまったし、どうしよう…』と途方に暮れていたとき、母がインスタグラムで、とあるハンバーガー屋を見つけてきました。
そのハンバーガー屋では、新たにベーグルを始めるとのことで、『どうせ暇なら行ってみれば?』という母の勧めもあり、一人で訪ねることにしました。」
「私自身、人見知りだったこともあり、『一人で行っても大丈夫なのかな…』と少し不安に思いながら伺ったのですが、佐藤さん(グランビリーの店主)はとても優しい空気を纏いながらも、しっかりと自分の軸を持った芯の強い素敵な方で、とても話しやすかったです。
初対面なのにすっかり意気投合し、修行先がなくなってしまったことをお話すると、『ボランティアでも良ければ是非!』とお声がけいただき、なんと翌日からお手伝いさせていただくことになりました。」

こだわりが詰まったお店には、
大好きなカナダへの愛を溢れさせています。
ーそのような経緯があったのですね。実際に店頭に立ち、お客さんと接してみて感じたことはありますか?ー
「パン作りについては専門学校で学んでいましたが、実際に接客・販売となると全く違う大変さがありました。
でも、佐藤さんの働きを間近で見ることができたり、グランビリーを通じてこの街の方々と関わりが増えたことは、今後の開業にも必ず役に立つと実感しています。」
「横浜は地元ですが、進学をきっかけに10年ほど離れていたこともあり、実はあまり思い入れはありませんでした。でも、グランビリーのお客さんやイベントで知り合った方との繋がりが増えることに伴い、この街の魅力にも気付くことができました。
私が鹿児島で始める『ピーカンベーグル』も、グランビリーのような、“その街の人たちに愛される地域密着型”のお店にしたいと思っているので、ここでの出会いや経験は宝物になりました。」
ピーカンベーグルにainiko
ごく普通の会社員から、遠く離れた地で開業を決意したご自身のことを、「ただの大冒険ヤローなだけです(笑)」と仰っていたちさとさん。
しかし、その行動力が周りに与える勇気は、本人が思っているよりかなり大きなもので。
「鹿児島に住む」と決断した頃のちさとさんと同世代である私は、「まだまだ続く人生の中でいつかはあんなことに挑戦してみたいな~」という気持ちはありつつも、なかなか行動に移すことはできていませんでした。
そんな私ですが、今回お話を伺い、その行動力の源である「恐れずに、まずはやってみる」という気持ちにすっかり影響され、「いつかは」ではなく「まずやってみよう!」という気持ちになることができました。
実は今回も、「ちさとさんの行動力について詳しく聞いてみたいなぁ。」と以前から思っていたことが、初インタビューに挑戦するきっかけとなったのです。

たくさん訪れており、
すっかりこの街の人気者。
鹿児島で新たな一歩を踏み出すちさとさん。皆さんも鹿児島に行く機会があったら是非会いに行ってみてはいかがでしょうか? (将来的には、通販や横浜でのイベント出店にも興味があるとのことなので、是非楽しみに待ちたいと思います!)
ピーカンベーグル
Instagram @pecan_bagel