ここにしかない郷土料理|鯛めし 彩食-亭 やまだ|高田・綱島

横浜市営地下鉄グリーンライン高田駅から歩いて1分ほどにある「鯛めし 彩食亭 やまだ」。

料理の経験と知識から作り出される料理はどれも美味しい。大将の料理には熱量と人の温かさがある。

私が物心つく頃から通い続けている、高田で18年続く鯛めし屋の大将、山田進さんにお話をお伺いました。

文章:Ayaka 写真:ミョウレンジャー  構成:ミョウレンジャー


手に職を。選んだのは“料理人”

───なぜ料理人を?

山田さん:「父親が職人だったので、私も手に職を持ちたいと思っていました。

知り合いに消防士を勧められたこともありましたが、板前さんが料理をする姿を見たときにかっこいいと惹かれて、料理人の道を選びました。

はじめは東中野にある結婚式場の折詰を担当し、のちに新宿や有楽町にある料亭「胡蝶」で料理人として働きました。

29歳の時、働いていた親方から「助っ人で行ってこい!」と言われ、初めて皿鉢料理を学びに高知県へ行ってきました。隣の愛媛県へ行き、食べ歩きをしてた時に初めて鯛めしに出会いました。

ここで出逢った鯛めしがに衝撃を受けました。子供から高齢者まで食べれる優しい味で、想像と違う鯛めしにとても驚いたことを覚えています。」

大将が作る鯛めし

───なぜ鯛めしをメインとしたお店をはじめたのか。

「その後、東京に戻ってきて料理人としての経験を積みました。

50歳なる手前で独立をし、尾山台でお店を開きましたが、家から遠く仕込みや通勤などが大変だったので、1年で閉めその後、高田でお店を出し今に至ります。

お店の看板メニューを何にするか悩みましたが、“鯛めしはどこにもないのではないか”と思い、郷土料理のため、関東の人に合うように鯛めしを改良して、鯛めし屋としてお店をオープンしました。最初はタイの国の料理屋さんだと勘違いされることも多かったです(笑)。

オープンして1年半ほどはとても苦労しました。最初は半年で潰れるんじゃないか、と噂されていたこともあります。

不安な時期もありましたが美味しい料理を提供し続ければ、お客様はまた食べにきてくださる。と、根拠のない自信を頼りに、ただただ美味しい料理を提供し続けました。

気づいたころには鯛めしを食べにきてくださるお客様が増えていき、ありがたいことに18年続けることができています。」

看板メニュー「鯛めし」に次ぐ大将自慢のメニューが「蕎麦」。

───蕎麦を始めたきっかけは。

「元々蕎麦が好きで、色々な蕎麦屋さんを巡ったんです。でも自分の口に合う蕎麦がなかなか見つからなかった。

好みのそばが見つからないなら、自分で作ってみよう。と思い、半年ほど蕎麦屋で修行を行いました。修行しながら自分の納得いくそばを探求し続けました。

自分が納得いく美味しい蕎麦にたどり着くまで3年ほどかかりました。納得いく味になるまではお客さまに無料で蕎麦を提供して、感想を聞いてきました。」

まずは塩で。次は大将自慢のタレで頂くそばは超本格的な絶品蕎麦。

「美味しいと感じる蕎麦は、タレも蕎麦も両方美味しくなくてはならないんです。

タレだけが美味しくてもダメ、蕎麦が美味しくてもダメ。蕎麦の本来の美味しさとは、タレも蕎麦も両方美味しいこと。だからやまだでは蕎麦もタレもこだわっているんです。

蕎麦作りは季節によっても湿度によって配分量が異なりますし、タレも使う素材によって大きく味が異なるので、かなり時間をかけて探求し続けました。

今では、鯛めしではなく蕎麦を求めに来ていただくお客様もいらっしゃいます。自慢の一品です。」

身体が動くうちに美味しい料理を味わいたい

───今後の大望は?

「70歳までは今のスタイルでお店をやっていくけど、ゆくゆくはお蕎麦と鯛めしだけやりたいと思っています。その後は、美味しいご飯を食べるために、いろんなところに行きたいです。」

調理場に立つ真剣な眼差しの大将

高田の郷土料理 やまだの鯛めし

巷では有名な鯛めしやまだ。しかし大将の背景は謎のまま。店内に表彰状がたくさん飾ってあるものの詳細を知っている人は少ない。

高田の郷土料理 鯛めしやまだ

私はオープン当初から通い続けています。
オープン当初は私は小学生で、母と妹3人で今はないカウンター席に座り、鯛めしを3つ注文しました。

私と妹はカウンター席から身を乗り出し、鯛めしを作っている様子を見ていた記憶があります。
違う日に行った時には、おじさんが調理場へ入ってもいいよっと言ってくれて、調理場からおじさんが料理を作る姿を見たことがあります。

それ以来、鯛めしやまだのメニューを色々楽しみつつも私の推しは鯛めしになり、”いつもの”になりました。

母が体調を崩した時、妹と1000円を握りしめ、おじさんのところに行きました。
いつもはお母さんと3人で来るのに、子ども2人だけで来たので、おじさんとおばさんは驚きつつも、話を聞いてくれて、”いつもの”を注文しました。

“いつもの”は、今も変わらず美味しく優しい味。18年経った今でも私の中では高田の郷土料理です。

どの世代でも楽しめるやまだ。
おじさんおばさんが引退するまでに、おじさんの作る優しい味を楽しみたいと思っています。

彩食亭やまだ
神奈川県横浜市港北区高田東3-2-3 綱島ダイヤモンドパレス1F

コメントを残す