昨年末、福岡でも大人気だったベーグル店が大倉山に移転してくるというニュースが舞い込み、驚いた方も少なくないのではないでしょうか。私もその一人。
移転前から注目度が高かったCAMELBAGEL(キャメルベーグル)さんは、福岡で随一のハード系ベーグル店として多くのファンが訪れるお店としても有名だったお店。
2023年1月の大倉山店での開店初日には、2時間待ちの大行列で即完売。その後も、連日完売が続く、注目のお店!
私自身が普段からパンを作るのが大好きで、CAMELBAGELさんの大ファンということもあり、今回OPEN直後のご多忙の中にも関わらずその想いが通じ、オーナー兼ベーグル職人の上田さんにお話しをお伺いすることができました。
文章:sachikaneko 写真:myourenjar 構成:myourenjar
一度はあきらめたパン屋さんへの挑戦
―――ベーグル店を始めたきっかけ、ベーグルのこだわりを教えてください。
上田さん:「実は、子供のころからずっとパン屋さんになりたかったんです。
ただ、いざ進路を決めるとき思い切って踏み込むことができず、10年ほど会社員をしてました。会社員を続ける中で、ふと自分の今後を見つめ直したとき、
子供のころの夢だったパン屋さんになりたい気持ちがふつふつと湧き上がってきたんです。
知人に自分が普段焼いているベーグルを食べてもらったら、想像以上の高評価が返ってきたのが嬉しくて、そのまま調子に乗って(笑)
パン屋さんになる夢を実現しようと、本格的にお店を開業させるために動きはじめました。」

「まずはパン屋さんで修行をさせてもらうことにしました。
一通りのパンの作り方や技術に触れ、改めてパンの種類が多いこと。様々な種類のパンの作り方、粉の種類やレシピなどを0から色々学ばせていただきました。
パンの世界の奥深さを知ったことで、改めて開業に向けて考えることができた気がします。
色々な種類のパンを扱うのではなく、自分の得意だと感じているベーグルを極めようと、ベーグル店開業を決めました。」
―――こだわりを教えてください。
「福岡でお店をはじめてから小麦粉はありとあらゆるものを試しました。
試作する度に毎回驚くほど、焼いているときの香りも、食感も、香りも、味も変わるので、
小麦粉1種単体で焼いてみたり、配合してみたり、配合の分量を変えてみたり。とにかく、繰り返し色々と試しました。
お客様の感想をお伺いしながら改良を続けて、今は北海道産の「キタノカオリ」と「春よ恋」と「ゆめちから」の3種類を使い、低温長時間発酵で焼き上げています。」
「特にお客様に人気なのは岩塩バターですね、あとはチーズ、ピスタチオ。その他にもベリークリームチーズや、アップル系のベーグルもご好評いただいています。
季節によってもラインナップを変えているので、色々試していただいてお気に入りを探してもらえると嬉しいです。」

「こだわり。というか、大切にしていることは、常により良いものを探求しようということ。
2017年に福岡店をOPENしてから、お客様から頂いた声を元に改良を続けていて、
例えば最近だと、クリームチーズを使用したベーグルを一度冷凍してから食べるとボソボソする。というご意見を頂いたので、粘土の高いクリームチーズを混ぜて使うことで水分量のバランスを整えました。
もっとチョコレートを感じられるベーグルが欲しいという声を元に、チョコレートの量を増やしてみたり。お客様やスタッフの声を元により良いものを。と常に思っています。」

「私自身パンが大好きなので、お休みの日には他店のパンやベーグルを食べに行くことで、ヒントや刺激をもらうことも沢山あります。
当店の人気商品のひとつ、ピスタチオベーグルは、とあるベーグル屋さんの商品からインスピレーション受けて、自分でも作ってみたいと思い誕生したものです。
ベーグル生地をカカオ味にしたことで、見た目のコントラストも楽しんでいただけるピスタチオベーグルになりました。ぜひ、お楽しみください!」
実は、大倉山にご縁があった
―――なぜ、移転先を大倉山に?
「大倉山に移転場所を決めたのは、色んな理由がありますが、
内見に来た時にお店から山が見えて。それがなんとなく福岡のお店に似ている感じがして。都会すぎない落ち着いた雰囲気が気に入りました。
それと妹が東横沿線に昔住んでいたので、妹の押しが最後の決め手になりましたね。」

「福岡でお店を始めた頃は、ほとんど知られてないようなお店でした。
近所のお客様が毎回買いに来てくださっては、2時間ぐらいのんびりお話をしてなんていう感じだったのですが、気づいたらありがたいことにお客様が増えていって。
大倉山で開店へ向けて準備をしている時も、ほとんど声をかけられるようなことはなかったので、初日に行列ができている光景を見たときは、本当に驚いてしまいました。
まだ移転してきて間もないですが、週に2~3度も来てくださるお客様もいたり。場所も人も温かいことを日々感じながら、日々ベーグルを焼いてお待ちしています。」

常連さんと顔と顔を合わせて
―――どのようなお店にしていきたいですか?
「私は普段からしゃべることが大好きで、話しかけられると気づいたら2時間でも3時間過ぎているなんてこともあります。
今は、お店の奥でベーグルを焼き続けないといけないので、表に出てお客様とお話できる時間が作れていないのですが、本当は福岡店をはじめた頃のように、お店に来ていただくお客様と店先でお話することができるような空間にしたいと思っているんです。
色々な種類のベーグルを楽しんでもらえるのはもちろん。このまちの方々に気軽に食べていただきたいという思いが強いので、ふらりと立ち寄っていただける身近な存在のお店にしたいなと。
美味しいベーグルを食べて、憩いの時間を感じていただけるととても嬉しいです。」

CAMELBAGELにainiko

初めての取材でどうやったら上手に話せるのか、どうしたら上田さんの魅力を聞き出せるのか、とても不安でしたが、話し始めてみるとどんな質問にも丁寧に、パンが好きすぎて自分の行きたいパン屋さんの話とか、書ききれないほどたくさんのお話を伺うことができました。
話をお伺いしているうちに、あのパン屋さんが美味しいとか、小麦粉の話、酵母の話などパン好き同士の会話になって、ただただ楽しい時間でした。
福岡いるときからベーグルの研究のため上田さんは食べ歩きをすることで、素材の組み合わせの研究をされていること。北海道の美瑛町で小麦農場でお手伝いをされてる時も、北海道のおいしいパン屋さんにたくさん行かれたり、沖縄ではすごくおいしいキャロットケーキに出会ったなど。
日本の北から南まで、多くの味を日々色々研究をしている上田さんのこだわりの詰まったベーグルを一度食べて頂くと、きっとコアなファンになってしまうはず。
私も月に2回は必ず買ってしまう、そんな魅力あるベーグルをぜひ食べてみてください。
CAMELBAGEL
住所 横浜市港北区大倉山3-63-12
Instagram https://www.instagram.com/camelbagel/