2017年9月に菊名にOPENしたモダンイタリアンの「Osteria Italiana COVA」。
おしゃれでモダンなお店の雰囲気と、SNS等で紹介されている洗練されたお料理の数々は、どのような味なのか容易に想像できないものばかり。

私も実際お料理をいただき、感動し魅了されたCOVAファンの一人。
今回、菊名の地で食を通じて多くの人を魅了している、凄腕オーナーシェフの古賀雅仁さんにお話しを伺わせて頂きました。
文章:akiharrutomaccha 写真:myourenjar 構成:myourenjar
イタリアで育った幼少期での経験が料理の原点に
―――どんな幼少期を?
古賀シェフ:「3歳から12歳まで、イタリアのミラノに住んでいました。幼少期はミラノの幼稚園に通っていて、そこで出てくる給食のパスタがすごく美味しかったのを覚えています。
イタリアで食べて一番美味しかったものは、パスタ。母にパスタを作ってもらう時に“ソース少な目”とお願いするくらい、パスタの麺自体が大好きで。
イタリアでは体調が悪い時にもシンプルな具のパスタが出されるほど、パスタが日常的なものだったんです。
どんな場面で食べるパスタも、すごく美味しくて大好きでした。イタリアでの生活は、今の自分と料理の原点になっていると思います。」

「大好きなイタリア料理を勉強したくて料理の専門学校に行き、それからは都内レストランで下積みをし、23歳で責任者のシェフに選任されました。
立場上、人に聴くことができなかったので、ありとあらゆる料理本などを読みながら知識を深めては実践する。を繰り返しました。
とにかく自分の経験値を自力で向上させていくことが必要でした。仕事の日はもちろん。仕事が休みの日も、評判のレストランへ行き、見て食べて。常に動き続けていましたね。必死でした。メニュー作りをすることも試行錯誤の連続でした。」

「28歳で大きな転機が訪れました。若き才能を発掘する日本最大級の料理人のコンペティション『RED U -35』に挑戦し、入賞。また、『サンペレグリノヤングシェフ』という世界大会では、国内最終選考に選出されたり、
その他コンクールでも受賞頂けることができ、初めて自分以外の人に認めてもらえたことは、大きな自信に繋がりました。
コンクールに挑戦した事は、自分の意識が大きく変わるターニングポイントになりました。自分のオリジナルとは。自分ができる事は何か。を考えるきっかけとなり、自分の夢だったお店を持つことの実現を加速させ、
ありがたいことに、多くの方に支えられて、COVAができて6年目になります。」

自分自身“孵化したい”“成長したい”
―――COVAはどういう思いで生まれたのか?コンセプトを教えてください
古賀シェフ:「自分が好きだと思う料理のスタイルや、こういうレストランをやりたいというイメージはずっとありました。
そのイメージを軸に、コースのイタリアンをやりたいと思っていた構想を形にしたのがCOVAです。
“COVA”とは、イタリア語で”卵が孵化(ふか)する゛という意味。大きな転機となったコンクールのテーマが「卵」だったこと。自分自身も更に孵化したい、成長したいという思いでCOVAという名前に想いを込めました。」

「お店のこだわりとして、できる限り神奈川県産の食材を使うこと。を続けていましたが、3年が経った頃、“自分らしいお店とは”を、より深く考える様になりました。
更なるCOVAらしさ、独自性を強くしたくて2021年より開始したのが『アミューズからデザートまで、全てのお料理にフルーツを使う試み』です。
フルーツをお皿に使うのは珍しいことではありませんよね。なので、より個性を出す試みとして全てのお料理に入れるスタイルに行きつきました。」



アミューズメントパークのように。五感で楽しむフルコースを
古賀さんの料理の代名詞といえばお皿にちりばめられた目にも鮮やかなフルーツや独創的な料理の数々。
―――古賀さんの料理には必ず一皿にフルーツが使われていていい意味で時に奇抜で斬新でとんがっていて、でもその中に繊細さを感じますが意識されている所はありますか?
古賀シェフ:「美味しいお店は山ほどあり、僕くらいのシェフは星の数程います。その中からわざわざうちに来てくださるのであれば、驚きだったり、新しい経験を体験していただきたいと思っています。」

「『こんな組み合わせある?』とか『こんな盛り付け方ある?』と、
お料理に視覚的な工夫をしたり、香りだったり、スモークや弾ける音など。目で見て、耳で楽しめて、口に運んだ瞬間の驚きだったりを意識しています。
味がなかなか想像できないけれど、食べてみたら“イケるね!”みたいな。そんな風に色んな角度から驚きや楽しみを演出できないかと。
”ただ食べる場所”にはしたくない。料理を通じて、アミューズメントパークと言ったら大げさかもしれませんが、様々な体験ができる場所にできたらと思っています。
あと、僕自身が食べる事がすごく大好きなのでボリューム感はすごくあると思います。見た目だけでなく、ボリュームもご満足いただけるように意識しています。」

―――2017年に菊名でオステリアイタリアーナCOVAをオープンされて今では人気店ですがこれからCOVAはどうなっていくのでしょうか?
古賀シェフ:「実は少し前から、レストランより少し入りやすいお店、カフェのようなお店を出していきたいなというのを考えているんです。
タルト生地やパイ生地を手作りでご提供するようなカフェ。菊名に気軽だけど軽食もドリンクもしっかり美味しいカフェを作れたらいいな。なんて。」

「今のCOVAの立ち位置は、
東京で食べるより安い、でも食べてみたら東京で食べるのと変わらない。という立ち位置なのかなと。
ずっと今まで一人でやってきたのですが、スタッフの力を借りながらカフェの形態にも挑戦してみたいし、レストランも工夫をし続けていきたい。お店を大きくしていくというよりかは、使い勝手や選択肢の幅を広げることで、このまちの皆さんに楽しんでいただきたいと思っています。
菊名の地で6年目ですが、多くの方に支えられている恩を強く感じているので。長くお店を続けることでこの街への恩返しをしていきたいと思っています。」
COVAの未来を考えながら話す古賀さんの表情はわくわくした気持ちと時に見せる真剣な表情が料理を愛し来て下さるお客様の事を常に考える古賀さんの一面が垣間見える瞬間でした。

Osteria Italiana COVAにainiko
幼少期のイタリアに住んだ経験からイタリア料理を勉強し23歳の若さでシェフに。誰にも聞けなかったという立場と自分で全てをやらなくてはという経験から古賀さんの独創的なモダンイタリアンが生まれました。COVAの名前の由来である『卵が孵化する』から常に成長していきたいという気持ちとお客様にわくわく楽しんで頂きたいという一心で進化と成長を続ける古賀さんの信念と考えを聞けたCOVAファンの私には貴重なインタビューでした。

私が初めてCOVAを訪れたのは誕生日ディナーで前々から気になっていたCOVAを主人が予約してくれ伺いました。
単身赴任が決まった主人と久々に夫婦2人で出てくる料理に驚きながら家からすぐ近くだけれども2人で少しおしゃれをして食べた特別なディナーでした。
私たち夫婦にとっても古賀さんがおっしゃるまさに特別な時間になりました。
特別な日に素敵な相手と驚きとわくわく感が感じられる古賀さんの料理を是非COVAに足を運んで食べてほしいです。ミシュランで星を取られる日をCOVAファンに一人として楽しみにしています!
Osteria Italiana COVA
神奈川県横浜市港北区菊名6丁目21-30
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